(3)ヒルトップの管理
湖水地方一帯は湖水地方国立公園に指定され、英国国立公園局が管理している。ナショナル・トラストはこの国立公園内の約1/3に当たる面積を所有・保存している、またナショナル・トラストは、ヒルトップのような農場を90ヶ所以上を所有している2)。その中にはビアトリクス・ポターが購入した土地と施設も多く含まれている。
だがビアトリクスは、ヒルトップだけは生前から誰にも貸し出すことをせず、彼女の没後3年の1946年にナショナル・トラストによって公開されたものの、管理は夫のWilliam Heelisが行い、夫の没後はTom Storey親子に管理が移された。1988年にTomの息子のGeoffが死去した後は貸しに出され、現在も人が居住している。
(4)湖水地方の観光対象
キーツやワーズワースなどの詩人の故郷でもある湖水地方の観光資源は、何より美しい自然環境で代表され、それらを楽しむための移動手段として、HaverthwaiteやRavenglass等での蒸気機関車、Ullswater湖の蒸気船、Conistonの蒸気ヨットとゴンドラ等が整備されている。その他、人文資源としては表−3のような観光施設・建築物等が多くの観光客を集めている。
表−3:湖水地方の主な観光対象施設
出展:文献2〜8をもとに作成
4. 調査結果
(1)ヒルトップの観光地としての特性
1)観光地化の経緯
1946年に、英国ナショナル・トラストはヒルトップ農場を「歴史的建造物」とし、てナショナル・トラストに指定し、公開を開始した。湖水地方が観光地として有名になったのは、このヒルトップの公開が契機となったといわれている3)(図−3)。以来、多くの詩人・画家が愛したこの土地の景観と環境の魅力は、ヨーロッパを始め世界の各地から多くの観光客を引きつけている。
ナショナル・トラストに指定されることにより、対象施設は国民の利益のために永久に保存されることが法の下に約束される。だが一方で、指定に伴い以下の3つの権利と義務が発生する。
。. 保存管理する資産について「譲渡不能」を宣言する権利
「. 国民に対して公開する義務
」. 公開に際して入場料を徴収して良い
従ってヒルトップも、永久保存を約束されると同時に公開を義務づけられたことになり、その延長上に、今日の地域の観光拠点としての位置づけがあるξ考えられる。だが翻せば、本来、保護を目的とする施設を一般公開しているに過ぎず、大量の観光客の来訪を想定して開発されたわけではな
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